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新種のゴカイ発見!謎に包まれた「生物発光」研究に新たな光 【YLC】【別所-上原 学 先生】

2023.04.05
お知らせ
#研究推進 #若手育成

 新たに発見された3種のゴカイが新種として報告されました。

 そのうち2種の和名、「オニビフサゴカイ」「アオアンドンフサゴカイ」に「オニビ(鬼火)」「アオアンドン(青行灯)」と名付けられたように、青い光で発光し、ヒカリフサゴカイ属という仲間に含まれることがわかりました。

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 3新種の「オニビフサゴカイ」「アオアンドンフサゴカイ」「イケグチフサゴカイ」(写真右)。「イケグチフサゴカイ」は能登島水族館の元館長である池口新一氏にちなんで名付けられた。ちなみに、「ヒカリフサゴカイ属」という一つ大きい括りの和名も今回の発見によって名付けられた。この仲間に「光る」という共通性が認められたためだ。

 3新種のゴカイだけでなく、私たちも良く知っているホタルイカやウミホタル、チョウチンアンコウなどをはじめ、海の生物には自ら発光する種が多く存在します。一方、それぞれが発光する目的や方法の多くはなんと謎に包まれたまま。さらに、具体的にどの生物種が発光するか、その具体的な分類も進んでいないのが現状です。たとえば、「同じ種だと考えていた生物が実は別種でした」、といった具合では、発光の謎解明も前途多難です。

 以下、動画内1:06以降の映像に注目してご覧ください。新種ゴカイによる青色に混ざって、黄緑色の発光を見つけられるでしょうか。実はこの色違いの発光もゴカイの仲間によるものだと考えられています。一口にゴカイといっても、種類が違えば発光の色すら変わることもあります。

 

 発光する目的は警告シグナルや求愛行動としての役割とする説もあるが、この新種のゴカイが青い光を使う理由は謎につつまれている。「ブルーライトカット」が日常生活に浸透しているように、青い光は他の色に比べて強いエネルギーを持つ。なぜ、エネルギーコストの高い青色の光をわざわざ使用するのだろうか。

 また、今回の研究が、分類研究と生物発光の生態研究をセットにして行われた点も重要です。分類学では一つの主な手法として非常に細かい形態分析を行うため、多くのケースにおいてホルマリン標本など生きていない個体を扱います。そのため、生きている間にしか見られない発光などの生態を分類上の特徴として扱うのは難しい点でもありました。今回、理学研究科の自見 直人 講師と、高等研究院の別所-上原 学 特任助教がタッグを組んだことにより、分野融合的な分類学として、生物発光に関する研究をまた一つ前進させることとなりました。

「私が生きている間に、ひとつでも多く、生物が光る謎を解き明かせれば、とても嬉しいですね」

別所さんはこのように話します。
謎だらけの生物発光。暗中模索の研究を照らす、次なる発見はいかに?

●オススメ情報
生物発光についてもっと知りたい方はぜひコチラの記事もご覧ください!
別所さんによる、面白く、わかりやすいオススメ記事です。

●名古屋大学 研究成果発信サイト
名古屋大学からのプレスリリースはコチラの記事もご覧ください!
「海中のライトショー、バイオレットにきらめくゴカイの3新種を発見 ~多様な生物発光機構の理解と生命技術開発につながることが期待~」

(文:綾塚達郎)